はじめに

古物商許可を持っていれば、お酒の買取や販売もできるのでは?
リユース業者の中には、こう考えている方も少なくありません。しかし、実際には 古物商と酒販免許は全く別物 であり、扱える品目・販売方法・手続き・所管官庁もすべて異なります。
この記事では、リユース業者として活動されている方、またはこれから古物ビジネスに参入しようと考えている方に向けて、古物商と酒販免許の違い をわかりやすく解説します。
また、誤った解釈によって法律違反を犯してしまうリスクを回避するための注意点も紹介します。
第1章:古物商とは何か
1-1 古物営業法による定義
古物商は、警察(公安委員会)の許可を受けて、中古品(古物)を売買する事業者のことです。ここで言う古物とは、
一度でも使用された物品、または使用されない物品であっても使用のために取引された物品
を指します。中古ブランド品、家電、骨董品、時計、貴金属などが該当します。
1-2 古物商で扱える酒類は?
基本的に お酒は古物に該当しません。未開栓のお酒であっても、食品である限り「古物」として扱うことはできないとされています。
ただし例外的に、装飾用の空瓶・空き缶・ラベル などをコレクター商品として販売する場合は、古物として取り扱えることがあります。
第2章:酒販免許とは何か
2-1 酒税法に基づく免許制度
酒販免許は、国税庁(税務署) が所管する制度で、酒類を販売するために必要な免許です。
販売形態に応じていくつかの種類が存在します:
- 一般酒類小売業免許(店舗販売)
- 通信販売酒類小売業免許(ネット販売)
2-2 酒販免許が必要なケース
たとえ未開栓で新品状態でも、お酒を売るには酒販免許が必要です。
これには、
- 飲食店が酒類を提供する
- ネットオークションで酒を販売する
- フリマアプリで転売する
といったケースも含まれます。
第3章:古物商と酒販免許の比較一覧
項目 | 古物商 | 酒販免許 |
---|---|---|
所管官庁 | 都道府県公安委員会(警察) | 税務署(国税庁) |
根拠法令 | 古物営業法 | 酒税法 |
許可/免許 | 許可制 | 免許制(より厳格) |
対象物 | 中古品(古物) | 酒類(新品でも要免許) |
審査期間 | 約40日 | 約2~3ヶ月 |
申請費用 | 19,000円 | 30,000円(小売業免許) |
主な違反リスク | 無許可営業は懲役/罰金 | 無免許販売は酒税法違反・行政処分 |
第4章:古物商のみでお酒を売ったらどうなる?
結論から言うと、古物商だけで酒を販売すると違法 です。たとえお酒が未開栓であっても、食品衛生・酒税の観点から酒類販売には免許が必要であり、 酒販免許を取得していない場合は、酒税法違反(無免許販売) で厳しい処分を受ける可能性があります。
実際の罰則例:
- 無免許販売で税務調査が入り、業務停止命令
- 酒税法違反で100万円以上の罰金
- 刑事告発されるケースもあり



古物市場に出回るウイスキーやブランデーを仕入れて売るには、ちゃんとした酒販免許が必要なんだよ!安易な気持ちでフリマアプリで無免許で出品していると、後で痛い目に合うかも!
第5章:古物商と酒販免許を両方取得するには?
5-1 両方取得している業者の例
リユース業者の中には、古物商許可+酒販免許 の両方を取得して、
- 時計やバッグなどの買取・販売
- ウイスキーやワインの販売
を並行して行っているケースもあります。
5-2 取得の順番と注意点
- まず古物商許可を取得(比較的簡単)
- 次に販売場を確保して、酒販免許を申請(審査が厳しい)
酒販免許は「継続的・安定的に酒を販売できる体制」が求められるため、事業計画や販売実績がポイントになります。



一緒にやるなら、申請書類も2種類必要になるから、行政書士に頼むのもアリだね!
第6章:リユース業者が注意すべきポイント
6-1 買取について
古物商許可ではお酒の買取も原則NGです。買取を行うには「酒類卸売業免許」など、さらに上位の免許が必要になります。
6-2 ネット販売
酒販免許の中にはネット販売が認められていない種類もあるため、通販をしたい場合は必ず通信販売酒類小売業免許を取得する必要があります。
6-3 委託販売・ドロップシッピング
これらの形態でも、酒販免許が必要となる場合があります。単に倉庫から直送するだけのモデルでも、免許要件を満たすかどうか注意が必要です。
第7章:まとめ
- 古物商許可と酒販免許は全く別物。許可制度・所管官庁・販売品目などが異なる。
- 未開栓のお酒であっても、酒販免許がなければ販売は不可。
- リユース業者が酒類販売をしたい場合は、両方の許可を取得すべし。
- 酒販免許には種類があるため、自分のビジネスに合ったものを申請する必要あり。
法律を正しく理解して、リスクのない酒類ビジネスを展開していきましょう!



リユースもお酒も楽しいけど、ちゃんと免許を取って、安全・安心な営業をしようね!

