はじめに
酒販免許を取得して酒類販売を始めた後も、免許を維持するためには 管理研修の定期的な受講や各種変更届出、場合によっては 廃止手続き を適切に行う必要があります。この記事では、更新のタイミングや注意点、変更が必要なケース、免許廃止の手続き方法について、実務に沿ったかたちでわかりやすく解説します。

免許を取って終わり!……じゃないから気をつけてね〜! 未届出は大きなトラブルになることもあるよ!
1. 酒販免許に「更新」はあるのか?
実は、酒販免許そのものには有効期限がないため、「〇年ごとに更新手続きが必要」という制度は存在しません。
ただし、以下のような場面で税務署とのやり取りや届出が必要になります。
- 販売数量報告書の提出
- 販売管理者の研修受講(3年ごと)
- 名義変更や代表者変更等の変更届出
- 業務廃止時の届出
- 販売場の住所地変更
これらを放置していると、行政指導や罰則、最悪の場合、免許取消処分を受けることもあります。
2. 販売数量報告書の提出
2-1. 提出対象者
すべての酒類小売業者(一般、通信販売)や卸売業免許業者が対象です。
2-2. 提出時期と書式
- 提出期限:毎年4月末日まで
- 提出先:所轄税務署
- 書式は国税庁ホームページまたは税務署窓口で入手可能。



毎年3月末ごろに税務署から封書が届きます。そこに販売数量報告書が封入されています。
2-3. 提出内容
主に以下の項目を記載します:
- 前年度の酒類販売量(品目ごと)
- 在庫量
- 直近の売上高/仕入高等損益計算書



この報告書、実は国が“酒の流通量”を把握するための大事な資料なんだよ〜! 忘れずに毎年提出しよう!
3. 酒類販売管理研修の受講(3年ごと)
3-1. 法的義務
酒類販売管理者は3年ごとに研修を受けることが義務付けられています(酒税法第86条の9)。
- 対象:販売場ごとに選任された「販売管理者」
- 研修は国税庁指定の団体(例:日本ボランタリーチェーン協会等)によって実施されます。
3-2. 受講証明書の提出
研修終了後に発行される受講証明書は、店舗での掲示が必要です。これがないと、実地調査で指導対象になる場合もあります。
4. 酒販免許の「変更届」が必要なケース
4-1. 主な変更届対象
変更内容 | 必要な手続き |
---|---|
代表者の変更 | 変更届出(要添付書類) |
本店所在地の変更(法人) | 変更届出 |
商号や屋号の変更 | 変更届出 |
酒類販売管理者の変更 | 変更届出+研修受講 |
取扱商品(品目)の変更 | 変更届出 |
販売場の住所地の変更 | 変更届出 |
特に代表者変更や屋号変更、販売場の住所地変更はうっかり見落としがちです。
4-2. 提出期限
変更内容によりけりです。例えば酒類販売管理者の選任・解任の場合は、変更後2週間以内に「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を提出する必要があります。ただし、法人の役員変更や本店移転など、登記事項証明書が必要なものは、登記後に提出します。
5. 廃止届出の手続き
5-1. 廃止届の提出義務
酒販免許での営業を終了する場合、廃止日前までに所轄税務署へ廃止届を提出する義務があります。
提出先:販売場の所在地を所轄する税務署
必要書類:廃止届、印鑑証明書など



事業をやめるときは“黙ってやめる”じゃダメ! ちゃんと税務署に届け出てね!
5-2. 廃止理由による注意点
- 個人事業主の廃業:青色申告の廃止や廃業届の提出も合わせて必要
- 法人の解散・清算:登記変更と税務署手続きの両方が必要
- 他者へ事業譲渡する場合:免許の“譲渡”はできないため、新たな申請が必要です。
6. 実務上の注意点と罰則リスク
6-1. 遅延提出や未提出のリスク
- 販売数量報告書の未提出:税務署から指導、悪質な場合は免許取消処分
- 販売管理研修の未受講:営業停止や罰金の可能性あり
- 変更届を怠ると…:意図的と判断されれば免許取消のリスクあり
6-2. トラブル事例
- 販売管理者が辞めたのに届出を忘れ、研修未受講とされて指導
- 代表者交代後も旧代表名義で申請を続けており、トラブルに発展
- 販売場が移転したにもかかわらず、変更届出の提出を怠り、指導(実話)
7. 管轄税務署との連携の大切さ
管轄税務署の酒類指導官は、許可後もあなたのビジネスを見守っています。
- 相談・指導は親切丁寧なケースが多い
- 電話や面談での事前相談も可能
- 「よくある誤解」や「つまづきポイント」を教えてくれる



税務署の担当者さんと“顔なじみ”になっておくと、いざというときに超助かるよ!



ただし、部署が移動することも多々あります。
8. 今後の制度改正に備えて
酒販免許制度は法改正や社会情勢により変わる可能性があります。
- 電子申請の拡大(現在は一部のみ)
- インボイス制度との関連
- 小規模事業者向け緩和策の導入可能性
定期的に国税庁や管轄税務署の最新情報を確認しましょう。
まとめ:継続的な対応が免許維持のカギ
酒販免許を維持するためには、「更新」という形ではなくとも、日々の届出や報告、研修などを適切に行うことが欠かせません。
✅ 毎年の営業状況報告書を忘れず提出
✅ 3年ごとの研修は受講を忘れず
✅ 変更があったらすぐに届出
✅ 廃止の際は必ず書面で届け出
制度に沿って正しく運用し、長く安全に酒類販売事業を続けていきましょう。

